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あらすじ

絢爛豪華たる安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。
その文化を創出した男・千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克は、
利休が秀吉に切腹を命じられたことによって終わりを告げた。
果たしてこの争いの裏には何が隠されていたのか――。


6章からなる物語の大半は、
利休の高弟だった、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川三斎(忠興)らが、視点人物として置かれている。
大陸への進出に失敗し、自らの功績を能の謡曲にして、それを演じることにのめり込んでいく秀吉の姿にはじまり、弟子たち個々の人生と利休とのかかわりを描くことで、徐々に利休の死の真相に迫っていく。


著者は、秀吉を「野心と自己顕示欲が極めて旺盛な人物。そのやろうとしたことは信長の模倣にすぎない」と分析する。一方、黄金の茶室を自ら作った芸術センスを「秀吉は独自の侘びを発見した」と評す。そこから利休との対立が発生し、さらに関係が悪化していく過程にも、新たな解釈で斬り込んでいく。

第155回直木賞候補作。
解説は永青文庫副館長の橋本麻里氏。

作者より

『天下人の茶』は以下の短編と
視点人物から成っています。


【タイトル / 視点人物】
『天下人の茶』第一部 / 豊臣秀吉
『奇道なり兵部』 / 牧村兵部  
『過ぎたる人』 / 瀬田掃部
『ひつみて候』/ 古田織部
『利休形』 / 細川三斎(忠興)
『天下人の茶』第二部 / 豊臣秀吉


彼らは武将弟子で、
秀吉を除いて「利休七哲」に
名を連ねている人々です。


それぞれどういう人物かは、
ネットで調べていただきたいのですが、
いずれ劣らぬ名茶人として
名を残しています。


とくに古田織部は、利休の死後、
その座を継いだかのような活躍を見せ、
一時は家康と秀忠の茶頭を務め、
大坂の陣直前には双方の間を行き来し、
天下を静謐に導こうとしました。
しかしそれも失敗し、
織部は最後の手段として――。


ここから先は本編をお読み下さい(笑)。

書籍データ

文庫: 304ページ
出版社: 文藝春秋
言語: 日本語
ISBN-10: 4167911892
ISBN-13: 978-4167911898

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