Amazonで購入

あらすじ

蘇我氏VS 物部氏の骨肉の争いに、推古天皇を中心とした愛憎劇。
功罪半ばする日本最古の“悪役” 蘇我馬子を描く古代史浪漫小説、誕生!

作者より

本作は、飛鳥時代の王権を支えた蘇我氏四代の二代目にあたる馬子を視点人物に据えた長編小説です。多くの方は「馬子って誰?」とお思いかもしれませんが、馬子こそ日本という国の基盤を作った人物なのです。


基本的な知識ですが、蘇我氏四代とは初代稲目―二代馬子―三代蝦夷―四代入鹿になります。稲目以前の蘇我氏については記録がほとんどなく、定かなことは分かっていません。少なくとも稲目から蘇我氏の台頭が始まり、四代入鹿の代で最盛期を迎え、それが乙巳(いっし)の変(大化の改新)によって唐突に滅亡してしまうわけです。


初代の稲目は屯倉(みやけ)という仕組みを作り、国造や豪族から朝廷へ一定量の貢物を納めさせることで、「国家予算」が組めるようにしました。そして渡来人を重用することで文字を読み書きするノウハウを独占し、仏教の教義や先進的な技術を文字によって広めていきました。

さらに朝鮮半島南部でしか取れない鉄を輸入し、鉄製農具によって農業の生産性を高め、鉄製武具に身を固めた兵団も作りました。

そのほかにも灌漑水路工事の技術、馬の飼育、乾田法(かんでんほう)、須恵器(すえき)の製造といった技術の受容から、国家の蔵や戸籍の管理といった書記(事務)の方法に至るまで、大陸や半島の文物の導入を積極的に行いました。

稲目の行ったことで最も重要なのが、渡来人から伝えられた仏教を国家統治の基盤にしようとしたことです。その方針を引き継いだのが馬子になります。


21世紀を生きるわれわれと違い、当時は国家意識というものが育っていませんでした。 しかし為政者は飛鳥時代から外国、すなわち隋や唐といった大陸国家や、高句麗・新羅・百済といった半島国家の存在を意識しており、日本(当時は大和朝廷)をどのような国にしていくかで悩んでいたと思われます。

豪族の間でも、日本古来の神々を信仰する勢力いわゆる守旧派と、仏教を思想的基盤とした国家を造り上げていこうという二派に分かれていました。それが廃仏派と崇仏派です。

廃仏派の代表が物部氏で、崇仏派の代表が蘇我氏で、双方は武力衝突に至るわけです。

この戦いに蘇我氏が勝つことで、日本は仏教国家の道を歩み始めます。しかし事はそう容易には運びません。物部氏が滅んだら滅んだで、新たな権力闘争が始まります。

さて本作『覇王の神殿 日本を造った男・蘇我馬子』では、馬子を視点人物に据え、その国造りの軌跡を描いていきます。
是非手にとってお楽しみください。

書籍データ

出版社 : 潮出版社(紙書籍) / コルク(電子書籍)
発売日 : 2021/3/5
言語 : 日本語
単行本 : 390ページ
ISBN-10 : 4267022755
ISBN-13 : 978-4267022753

Amazonで購入