Amazonで購入 hontoで購入

あらすじ

70年代の大学紛争、「よど号事件」を題材に、現代日本の〈情熱の在り処〉を問う!

川崎簡易宿泊所放火事件でみつかった身元不明の遺体を調べるうち、若き警察官・寺島は、1冊の古いノートを入手する。
そのノートには「1970」「HJ」の文字と、意味不明の数字の羅列が記されていた。
やがて寺島は、放火事件とかつて日本を震撼させた大事件との関連に気づき、その真相を握る男を追う――。

過去と現在が結びつくとき、巨大な陰謀が明らかになる。

作者より

私が大学生となった1982年には、まだキャンパスに、べニヤ板に政治的主張が殴り書きされた「タテカン」と呼ばれるものが多数あり、それっぽい学生が多数生息していました。

学生時代の私は政治よりも文学に興味があったので、政治活動にはかかわらない四年間を過ごしました。
それでも友人の中には、プチ全学連的な活動をしていた人がいましたが、私が大学生だった80年代よりも、60年代後半から70年代が、学生運動は全盛期でした。そういう意味で、学生運動華やかなりし頃の残り香を嗅いできた私にとって、学生運動はたいへん興味のある対象でした。

学生運動関連の事件の中でも、白眉はやはり「よど号ハイジッャク事件」でしょうね。
連合赤軍の「あさま山荘立て籠もり事件」は警察官を狙撃するという暴力性で、その前段の集団リンチ事件は陰惨さから全くカッコよさは感じられないのですが、「よど号ハイジッャク事件」だけは「してやったり!」感があって好きでした。

そんなことから、いつか「よど号ハイジッャク事件」をベースにしたミステリー小説を書きたいと思ってきました。しかし事件をそのまま描いたのでは、数多くあるノンフィクション作品には敵いません。そこで何か一つ、物語を展開していく鍵となる「仕掛け」が必要だと考えていたのです。
しかしその鍵は、摑めそうでなかなか摑めませんでした。

そんな中、ふと浮かんだのが、「よど号ハイジッャク犯の中に公安がいたら」という仮説です。
このアイデアを思いついた瞬間、物語がむっくりと起き上がってきました。
そして書き上げたのが、私にとって近現代ミステリーの二作目にあたる『ライトマイファイア』です。

(伊東潤メルマガ「歴史奉行通信」第99号より抜粋)

書籍データ

出版社 ‏ : ‎ 幻冬舎 (2021/10/7)
発売日 ‏ : ‎ 2021/10/7
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 589ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4344431308
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4344431300

Amazonで購入 hontoで購入