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「本屋の選ぶ時代小説大賞2011」受賞作品

あらすじ

加藤清正の配下 沙也可(さやか)こと佐屋嘉兵衛忠善と、朝鮮の北辺・咸鏡道の役人 金宦。
秀吉最晩年の大事業である大陸出兵、すなわち文禄・慶長の役を舞台に、
運命の糸に絡め取られ、それぞれの祖国を裏切り、立場を入れ替えることになってしまった二人の男がいた。

嘉兵衛と金宦、日本と朝鮮――。
二人の男、二つの国の間に何があったのか。

徹底した史料調査に基づく歴史解釈と高次元のストーリーテリングにより実現する、
リアリティ溢れる怒濤の合戦絵巻。
「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」受賞作品。

作者より

この作品は、秀吉最晩年の大事業である大陸出兵、すなわち文禄・慶長の役を舞台に、運命の糸に絡め取られ、立場を入れ替えてしまった二人の男の活躍を描くスペクタクル・タッチの歴史小説です。
文禄・慶長の役を描いた歴史小説は極めて少ないはずです。それが、日韓両国の忌まわしい歴史に起因していることは言うまでもありません。しかし、これも日本人の歩んできた歴史の一面であり、決して目を背けてはならないものなのです。
私は戦後史観から脱却し、極めて公平な視点から、できる限り客観的に、この壮絶な戦いを描くことを心がけました。それゆえ小説作品とはいえ、ドラマ部分を除けば、極めて史実に近いものが描けたと自負しています。
この作品の主役は二人の男です。一人は日本人の沙也可(さやか)、もう一人は朝鮮人の金宦(きんかん)こと良甫鑑(リャン・ボ・カム)です。二人は運命に翻弄され、それぞれの祖国を裏切ることになります。
この二人の生き様を通して、私が訴えたかったのは、「生まれた国や土地など、どうでもいいじゃないか」ということです。
3.11以来、世界が日本を心配し、日本のために様々な支援の手を差し伸べてくれました。これほど日本が、世界において重要な存在であったとは思いませんでした。
経済大国としての日本ではなく、地球に生きる同胞として、世界の人々が日本のことを本気で心配してくれたのです。
臭い言葉ですが、われわれは国家や民族といった垣根を取り払い、人類として団結すべき時が来ていることを、ひしひしと感じます。
そうした時代だからこそ、この作品が読まれてほしいのです。
尤も、そうしたテーマを吹き飛ばすほど、この作品の面白さには、自信があります。冒頭の釜山城攻防戦から、ラストの蔚山城籠城戦まで、息もつかせぬ展開をお約束いたします。
ここのところ、様々な作家の作品に接し、皆が、いかにすれば読者のページをめくる手を止めさせないように工夫しているか、研究してきました。
それと同時に、歴史小説特有の深みのある文章によって、読者に立ち止って読み返してもらいたいという二つの相反する思いを抱いてきました。
「ページをめくりたい」という思いと、「今の文節を、もう一度読み返したい」という二律背反した誘惑を読者の方に抱いていただければ、作者として、これほどうれしいことはありません。
日朝の男の友情と怒濤の合戦絵巻を、心ゆくまでご堪能下さい。

書籍データ

・価格:税込800円
・単行本:413ページ
・出版社:PHP研究所
・ISBN-10:4569760953
・ISBN-13:978-4569760957
・発売日:2013/11/11

書評

2011年10月30日 神奈川新聞「かながわの本」欄掲載(単行本版の書評です)
「祖国裏切る二人の友情」

副題は「加藤清正『文禄・慶長の役』異聞」。豊臣秀吉の最晩年の朝鮮出兵が題材の歴史小説。
主役は清正の部下である沙也可(さやか・本書では佐屋嘉兵衛)、王子の側近、朝鮮人の金宦(きんかん)こと良甫鑑(リャン・ボ・カム)の二人の男。
日朝両国に明を交えた壮絶、凄惨な殺りく戦が生々しく語られ、一気に読ませる。
その中で、運命の糸に操られ、それぞれの祖国を裏切ることを余儀なくされた日朝2人の友情と活躍を描いている。
2人に共通するのは「われらは隣人。無益な殺生はやめよう」。歴史の流れの中でのみ込まれていくが、それぞれの場で懸命に努力し、互いに「国と民のことをよろしく頼む」と託し合う。
著者は2人の生きざまを通して「生まれた国や土地などどうでもいいじゃないか。この大地に生をうけた者はこの大地に恩返しすればよい」と訴える。大震災に見舞われた日本について「世界の人々は地球の同胞として日本を心配してくれた。今こそ国家、民族という垣根を取り払い、人類として団結すべきだ」との暗喩も込めている。
著者は横浜市生まれ。
外資系企業を経て文筆業に転じ、歴史小説を発表している。著書に「北条氏照 秀吉に挑んだ義将」「武田家滅亡」「天下人の失敗学」など。

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