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あらすじ

裏切者たちの哀歌! 戦国時代の合戦や主要事件を網羅した珠玉の合戦連作集

信長、秀吉、家康――。天下人が仕掛ける情報戦。
翻弄された男たちの悲運とは。
桶狭間合戦から大坂の陣までを鮮烈に描いた、戦国小説の新たな金字塔!

文芸評論家 縄田一男、激賞!
「最後に向かって何度、男泣きしたことか。名作の誕生である」

養父・秀吉に振り回され続けた秀次。己の人生とは何か? 悩める彼の許に家康の使者が現れ――(「上意に候」)。天下統一の目前、豊臣征伐に赴く家康へ刺客が放たれた。暗殺者は家康の輿を担ぐ者の中にいる――。それを炙り出せと密命を受けた伊賀の忍・吉蔵が行軍の旅路で見たものとは(「家康謀殺」)。
戦国時代の合戦や主要事件を網羅し、その光と闇を暴く珠玉の六篇。
歴史小説界の旗手・伊東潤の集大成短編集がここに!

「雑説扱い難く候」……桶狭間合戦、加賀一向一揆
「上意に候」……小牧・長久手の戦い、秀次事件
「秀吉の刺客」……文禄・慶長の役
「陥穽」……関ヶ原合戦
「家康謀殺」……大坂の陣前夜
「大忠の男」……大坂の陣

作者より

本作は戦国時代が一望できると
言ってもいい短編集です。


この作品集に収められた各短編は、
KADOKAWAの小説誌
「野生時代」12月号で年に一度行われる
「山田風太郎賞受賞者短編競作特集」
という特集のために、
毎年一編ずつ書いてきたものです。
最も古い『上意に候』は
2014年の作品なので、
随分と昔に書いた気がします。


『ルシファー・ストーン』は、
この特集とは別に依頼されて書いた
『戦国秘史』という文庫アンソロジーに
収録されているので、すでに読了の方も
いらっしゃるかもしれません。


この作品は、編集さんから
『戦国秘史』のコンセプトを聞き、
「思い切りぶっとんだものをお願いします」
と言われて書いた作品です。
ところがほかの作家たちは、
さほどぶっ飛んでいない短編だったので、
一人だけ浮いたものに
なってしまいました(笑)。


『家康謀殺』所収のほかの短編と比べても、
『ルシファー・ストーン』は
異質な感じがしたので、今回は電子書籍だけの
ボーナストラックとさせていただきました。


また『秀吉の刺客』は
「山田風太郎賞受賞者短編競作特集」
ではなく、
小説誌「野生時代」2019年4月号に
掲載されたものです。
それにより、2019年末の特集号での
お勤めを免除してもらいました(笑)。


書いた順番は
2014年の『上意に候』に始まり、
『家康謀殺』
『ルシファー・ストーン』
『雑説扱い難く候』
『陥穽』
『大忠の男』
『秀吉の刺客』
となります。


この作品集のトータルしたテーマは、
「戦国の無常」です。
これまで書いてきた多くの短編集は、
連作としての縛りが強いものが
多かったのですが、
今回は比較的テーマの縛りを弱くし、
「戦国の無常」という
漠然としたものにしました。


またもう一つのテーマとして、
「雑説(情報)に翻弄される男たち」
というものもあります。


『雑説扱い難く候』からして
情報戦を描いたものですが、
『上意に候』や『陥穽』では、
情報に翻弄されて疑心暗鬼に陥る
主人公たちを描きました。


『大忠の男』『秀吉の刺客』にしても、
情報が物語を構成する
重要な要素となっています。


とはいうものの、
本作はこれまでの連作短編集とは異なり、
縛りは比較的少ないもので、
「戦国時代の合戦を短編で俯瞰する」
「戦国時代を脇役の視点から見ていく」
といった趣向に貫かれており、
逆に年に一作しか書かなかったからこそ、
バラエティに富んだものになったと思います。

書籍データ

単行本: 360ページ
出版社: KADOKAWA (2019/6/28)
言語: 日本語
ISBN-10: 404108041X
ISBN-13: 978-4041080412
発売日: 2019/6/28

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