武士の王・平清盛 2016年5月12日 Amazonで購入 作者より この作品が小説ではなく新書となったのには、理由があります。 実は、以前より平清盛を主人公にした小説を執筆すべく、史料の読み込みなどの準備をしていたのですが、2012の大河ドラマが「平清盛」と知り、いったん、その企画を棚上げにしたのです(書き始める前でよかった)。 いわゆる「大河の地雷」を踏んでしまったわけです。 不思議にお思いの向きもおられるかもしれませんが、大河ドラマにフックさせた小説作品を書くということは、小説家の矜持が許さないからです。 それはまた、「業界タブー」の一つでもあるわけです。 しかし、戦国以外の時代を描きたいという思いから、その第一のターゲットに選んだ清盛の企画を没にするのは無念でした。 しかも、ほぼ史料を読み終わり、ある程度、当時の状況が肚に落ちていた段階でしたので、もったいない気がしました。 というのも、いったん企画を頭のメモリーから追い出してしまうと、何年後かに取り掛かろうとしても、また一からやり直しになるためです。 たまたま、こうした愚痴を洋泉社の担当にこぼしたところ、「新書なら、いいじゃないですか」となったわけです。 こうした紆余曲折を経て、晴れて『武士の王・平清盛 改革者の夢と挫折』を新書として上梓することができました。 小説として結実しなかった企画が、思ってもみなかった形で実現するのは、何とも不思議な気がします。 しかし、これも運命なのでしょうね。 というのも今回、十を超える清盛の研究本を読み尽くしたのですが、どれも専門家向けとしか思えない難解な内容で、手軽に清盛を学べる本がなかったからです。 こうした幾多の専門書から学んだ立場で言うのも失礼ですが、必要な説明はされていない反面、どうでもいいような説明は詳細にすぎ、そのアンバランス感に悩まされました。 つまり戦国時代と違い、この時代の語り部が不足していることに気づいたのです。 それゆえ、清盛をさくっと知ることのできる新書の存在意義は、たいへん大きいと思いました。 むろんそれだけでなく、定説に対して多くの疑問を呈することもできました。 清盛の生涯を手軽に知る一冊として、ご一読いただければ幸いです。 書籍データ ・ 価格 : 税込935円 ・ 新書 : 254ページ ・ 出版社 : 洋泉社 ・ ISBN978-4-86248-824-4 ・ 発売日:2011/10/6 Amazonで購入
作者より
この作品が小説ではなく新書となったのには、理由があります。
実は、以前より平清盛を主人公にした小説を執筆すべく、史料の読み込みなどの準備をしていたのですが、2012の大河ドラマが「平清盛」と知り、いったん、その企画を棚上げにしたのです(書き始める前でよかった)。
いわゆる「大河の地雷」を踏んでしまったわけです。
不思議にお思いの向きもおられるかもしれませんが、大河ドラマにフックさせた小説作品を書くということは、小説家の矜持が許さないからです。
それはまた、「業界タブー」の一つでもあるわけです。
しかし、戦国以外の時代を描きたいという思いから、その第一のターゲットに選んだ清盛の企画を没にするのは無念でした。
しかも、ほぼ史料を読み終わり、ある程度、当時の状況が肚に落ちていた段階でしたので、もったいない気がしました。
というのも、いったん企画を頭のメモリーから追い出してしまうと、何年後かに取り掛かろうとしても、また一からやり直しになるためです。
たまたま、こうした愚痴を洋泉社の担当にこぼしたところ、「新書なら、いいじゃないですか」となったわけです。
こうした紆余曲折を経て、晴れて『武士の王・平清盛 改革者の夢と挫折』を新書として上梓することができました。
小説として結実しなかった企画が、思ってもみなかった形で実現するのは、何とも不思議な気がします。
しかし、これも運命なのでしょうね。
というのも今回、十を超える清盛の研究本を読み尽くしたのですが、どれも専門家向けとしか思えない難解な内容で、手軽に清盛を学べる本がなかったからです。
こうした幾多の専門書から学んだ立場で言うのも失礼ですが、必要な説明はされていない反面、どうでもいいような説明は詳細にすぎ、そのアンバランス感に悩まされました。
つまり戦国時代と違い、この時代の語り部が不足していることに気づいたのです。
それゆえ、清盛をさくっと知ることのできる新書の存在意義は、たいへん大きいと思いました。
むろんそれだけでなく、定説に対して多くの疑問を呈することもできました。
清盛の生涯を手軽に知る一冊として、ご一読いただければ幸いです。