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あらすじ

女を使って権力を得る! ピカレスク時代長編

冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」と呼ばれた藤原頼長が、琵琶の名手を使い暗躍する。保元の乱へと転がる時代をダイナミックに描く!

(文藝春秋BOOKSより)

作者より

平安時代といえば、華麗で優雅な王朝絵巻を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに皇族や貴族たちの世界は、その通りでした。荘園制により、貴族たちは民の収穫を奪い、それによって贅沢な暮らしを成り立たせていたからです。
その頃は朝廷の権力闘争といっても、賄賂や婚姻政策によって、時の権力者である天皇や上皇の歓心を買った者が覇権を握ってきました。藤原北家の道長などは、その最たる者でしょう。

しかし平安時代末期は、そうした上流階級の陰で、武士たちが徐々に力を付けてきた時代でもありました。当初、彼らは皇族や貴族の走狗として、その荘園を守ることが職務でしたが、次第に富を独占したくなり、野望を剥き出しにしていきます。

たまたま白河法皇と平忠盛・清盛父子の強い関係から(清盛は法皇の子であるという説が有力)、平家が勃興することで、武士階級の台頭が始まります。それは当初、貴族社会に溶け込むような形で行われたため、彼らも脅威には感じなかったのですが、武士たちは次第に牙を剥いていきます。
しかも政治権力をめぐる藤原摂関家と、白河法皇の強力な院政を推し進めた院近臣の間で熾烈な権力闘争があり、また天皇家の後嗣問題、さらに摂関家の家督を継いだ悪左府・頼長と、その地位を追われた兄の忠通の間での確執もあり、両陣営は武力を使ってでも権力闘争に勝ち残ろうとします。
これが保元の乱の歴史的背景です。

『悪左府の女』は、一人の下級公家の娘が当代一の頭脳と呼ばれた左大臣・藤原頼長の権力闘争に利用されることで、巻き起こる物語です。
むろん主人公は架空の人物ですが、背景の物語は史実を忠実になぞり、数少ない史料から保元の乱の新解釈を試みています。

またこの物語は、武力を行使すると共倒れしか道はないことを大きなテーマとしています。つまり現代の写し鏡でもあるのです。
優雅な宮廷生活や貴族たちの年中行事を季節感豊かに描き、当時の様子を忠実に再現しているだけでなく、ストーリー的にもノンストップでラストまで突き進みます。
美しくてスリリングな平安時代にタイムスリップしてみませんか。

書籍データ

単行本: 408ページ
出版社: 文藝春秋 (2017/6/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4163906606
ISBN-13: 978-4163906607
発売日: 2017/6/9

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