月刊「潮」10月号より、

『覇王の神殿』(はおうのごうどの)の連載が始まりました。

 

「この作品は、蘇我氏三代を中心に、

国家の成り立ちについて書いていこうという作品です。

 

蘇我氏というのは、

乙巳(いっし)の変を正当化するために

中臣鎌足らによって歴史を改ざんされた悲劇の一族です。

しかし昨今の研究成果により、

その実像も分かるようになってきました。

 

蘇我一族は大陸や半島と積極的につながりを持つことで、

豪族の集まりにすぎなかった日本を、

律令制という中央集権的な統治制度の導入によって、

国家と成していこうとした一族だったのです。

もしも蘇我氏が自らの勢力拡大や権力強化ばかりを考えていたら、

朝鮮半島諸国同様、

勃興してきた唐の冊封体制に

組み込まれていたかもしれません。

 

そうした日本国の成り立ちを描いていくと同時に、

祖父、父親、息子三代の微妙な関係を描いていくというのが、

この作品のテーマになります。」

(伊東潤)

是非、ご覧ください。

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