本日5月20日より、新刊「敗者烈伝」が発売になります。

 

本書で取り上げた男たちは皆、敗者である。権力の魔に魅入られ、また野望に取り付かれ、男たちは敗れていった。それとは逆に、義を貫こうとして、また節(せつ)に殉(じゅん)じて敗者にならざるを得なかった者もいる。

日本史に光芒を放った二十五人の男たちが、いかにして敗れていったかを探り、そこから教訓を学び取ることが本書の目的である。

人が戦うことを好む動物なのは、論を俟(ま)たないだろう。それは未来永劫(えいごう)、変わらなく続き、その度に勝者と敗者が生まれていく。つまり人は、いつ己が敗者になるか分からない不安におびえて生きていかねばならない。しかし、その不安から逃れる方法が一つだけある。

歴史から学ぶことである。

プロイセンの鉄血宰相(さいしょう)ビスマルクの残した言葉に、「愚者(ぐしゃ)は経験に学び、賢者(けんじゃ)は歴史に学ぶ」というものがある。すなわち経験から学べることには限りがあり、そこから学ぶだけだと失敗や敗退を招くことも考えられるが、歴史には膨大な教訓が残されており、そこから学ぶ者は、格段にその確率が減るというわけだ。

「そんなことは分かっている。だが、昔と今は状況が違う」

そう、あなたはお思いかもしれない。しかし立ち止まって考えてみてほしい。人の営みは古代も今も、さして変わらないはずだ。

(本文より)

 

実業之日本社
2016/5/20発売
価格:1,728円(税込)
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