あけましておめでとうございます。
皆様、いかがお過ごしですか。私は相変わらず仕事三昧です(今はデニーズにいます)。
今年の世界情勢が激変期を迎えるのと同様、出版業界も大きな曲がり角に来ていると思います。
そうした中、よりよい作品を世に出していくのが作家の仕事です。
今年は、昨年以上にパワーアップした作品群を出していけると思います。
下記は今年の発売予定です。

【新作】
2017 3月  『城をひとつ』(連作短編集) 新潮社
     6月   『悪左府の女』 文藝春秋
     9月   『西郷の首』角川書店
    11月  『幕末雄藩列伝』(新書) 角川書店
     12月  『修羅の都』文藝春秋(公明新聞連載中)

内容については、以下のようになります。
『城を一つ』北条家の潜入攪乱工作を担う大藤一族の活躍を描いた連作短編集。
『悪左府の女』摂関家の内訌に巻き込まれた女の悲劇を描く王朝絵巻。
『西郷の首』西郷の首を見つけた男と、大久保を斬った男を描く幕末の青春群像。
『幕末雄藩列伝』幕末を藩という視点から捉えた歴史エッセイ。
『修羅の都』魔界鎌倉を舞台にした源氏三代をめぐる憎悪と怨念。
(なお『修羅の都』については、翌年になる可能性があります)

【文庫】
『黎明に起つ』 講談社    2017/03   北条早雲の一代記
『野望の憑依者』 徳間書店    2017/06   南北朝時代を高師直の視点で描く
『池田屋乱刃』 講談社    2017/09  池田屋事件を志士の視線で描いた連作短篇集
『死んでたまるか』 新潮社  2017/12  薩長政府と戦った大鳥圭介の軌跡

『城を一つ』は久々の短編集です。この作品群の構想は、7年ほど前にできており、5年ほど前に2作だけ小説新潮に掲載してもらったところで、先に長編を連載してくれというリクエストが届き、残り四編を2015と2016で書いたものです。こうした複雑な経緯で生み出された作品ですが、小品集なりの切れ味は、いつも通りです。
『悪左府の女』は、保元の乱をクライマックスにした長編です。藤原頼長とある女官を視点人物にし、策謀渦巻く平安朝絵巻を展開しました。この作品も「次に何が起こるか分からない展開を歴史小説に持ち込む」ことに努めました。
『西郷の首』は熱い男たちの物語です。『鯨分限』や『江戸を造った男』と似たテイストを持つライブアルバム的な位置付けの作品です。クライマックスの紀尾井町事件に向かうスリリングな展開は、私の中でもベストな出来です。
『幕末雄藩列伝』は、幕末という激動期を、藩という視点から描いたエッセイ集です。このエッセイ集の意義は、時代の激変期に、藩主や藩首脳部が、いかに判断し、いかに対応していったかです。そこには、現代企業の生き残りのヒントが隠されています。
『修羅の都』は、武士の都鎌倉を舞台に展開する愛憎劇を、頼朝と政子の視点で描いています。得意の政治ドラマですが、本作では、とくに政子の心理をきめ細かく描いています。現在、公明新聞で連載中ですが、新聞の加入部数が伸びるほどの大好評を博しています。永井路子氏の『北条政子』に匹敵するスタンダード的作品にすべく、努力していきます。
こうしたラインナップで2017年も爆走しますので、ご支援のほど、よろしくお願いします。
まだ、どの作品もカバーがないので、『悪左府の女』の連載時の装画を掲載します。苗村さとみさんの繊細なタッチが素晴らしいです。

悪左府の女2

悪左府の女イラスト1