時代小説傑作選カバー小 おかげさまで、たいへんな栄冠を手にしました。 なんと過去の時代・歴史小説短編すべてをひっくるめて選出されたオールタイム・ベスト作品に、『国を蹴った男』が選出されたのです。 これは宝島社が年に一度やっている「この時代小説がすごい!」のオールタイム版で、24人の書評家やライターの方々が、10作品を1位から10位まで順位付けし、1位に10点、2位に9点という形でポイント付けしていったものです。 並みいる昭和のレジェンドたちを押しのけての第1位というのは、何とも恐縮してしまいますが、24人もの書評家やライターの皆様が吟味して投票した結果ですので、心の底から喜びたいと思います。 ちなみに、この中にはお二人ほど面識のある方もいらっしゃいますが、残念ながら、お二人から『国を蹴った男』がいただいたポイントはゼロです(笑)。つまり情実はなし。 また、多くの短編を書いている私ですから、ほかの作品への投票もありました。いわゆる「点数割れ」ですね。 さらに、こうしたベストでは、どうしても「思い出補正」がかかってしまい、選者が子供の頃に読んだものほど高得点が付けられるという傾向があります。 そうしたアゲインストな状況をものともせず、2位に18ポイントも差をつけた59ポイントで首位を獲得できたのは、正直、信じられません。 ちなみに2位と3位の差は1ポイント、7位が同点で3作品といった接戦でした。 私の場合、ほかにも多くの短編を発表していますが、やはりストーリー展開、道具立て(蹴鞠)、キャラクターへの共感性、仕掛けの大きさ、ラストの物哀しさなどを考慮すると、この作品が出色の出来だったのでしょうね。 『国を蹴った男』で初めて私の作品を読んだ方は、表題作を収めた短編集『国を蹴った男』も、ぜひお読み下さい。 次は10/25発売の『天地雷動』(文庫版)でお会いしましょう。今回は、全行に手を入れるほどの凄まじい改稿を施しました。 硝煙の臭いが漂ってくるような臨場感ですので、降車駅を忘れないように(笑)。